店長：滝
スペイサイドを代表するウイスキー蒸留所にして、「シェリー樽熟成」製法の金字塔ともいえるザ･マッカラン。
「シングルモルトのロールスロイス」のニックネームで知られるザ･マッカランの創業は1824年で、2018年には蒸留所をリニューアルしたばかり。高まる需要に対応し、増産体制を確立しました。

一般に「シェリー樽」とは、一度シェリーの熟成に使用された中古の樽のこと。
ただし、マッカランのこだわりは、このシェリー樽を自社の厳格なプロデュースの下で「製造」し、マッカラン専用のシェリー樽を誂えていることです。

樽が出来上がるまでのプロセスを見てゆきましょう。
まず、スコットランドから海を渡りスペインへ。直接スパニッシュオークの原木を選んで、現地で2年間の天日乾燥を行います。
次に、シェリーの産地である南スペイン･ヘレスへと原木を運び、更に2年間の天日乾燥を施します。
その上で、マッカラン専用の樽に組み上げ、シェリーとしては辛口タイプにあたる「オロロソ」を詰めて2年間の樽熟成を行います。
熟成を終えたシェリーは樽から払い出され、その空き樽はスペイサイドのマッカラン蒸留所へ。
蒸留したモルトウイスキー原酒はこの空き樽に詰められて、更なる長い歳月を経て「シェリーオーク 12年」は完成します。
熟成期間は12年としながらも、原木伐採から製樽までのプロセスを鑑みると、プラス6年を数えたくなってしまうところですね。

「ダブルカスク 12年」は、自社プロデュースのシェリー樽熟成原酒と、アメリカンオークを原木に造られるシェリー樽熟成原酒とをブレンドした特別なマッカラン。
異なる土地で生まれ、それぞれに旅をしてきた2種類のシェリー樽原酒が調和した、シェリー樽100％熟成のウイスキーです。

「トリプルカスク 12年」は、「ダブルカスク 12年」に加えてバーボンウイスキーの熟成に使用された中古樽による熟成原酒を使用したレシピ。
前二者と同期間の熟成でありながらも、シェリー樽割合をあえて減らした本品は、熟成樽材が原酒へ与える影響をチェックするのにぴったりのアイテムです。