店長：滝
台湾の北東、宜蘭（ぎらん）県に位置するカバラン蒸留所。
かつて、誰もが「台湾の気候ではウイスキー造りは無謀」と考えた中で、タイワニーズウイスキーを完成させた開拓者にして、台湾最大のウイスキーブランドです。

基本的な製法はスコットランドや日本のモルトウイスキーと異なるところはありませんが、気候ばかりはまるで異なります。圧倒的に暑いのです。
さて、暑いとどうなってしまうのか。

冷涼地域のウイスキーの熟成は、樽内の原酒が樽材の目をくぐる様にゆっくりゆっくりと揮発することで時間をかけて進んでゆきます。
何十年もの時を経ることで樽内の原酒量は少しずつ減ってゆきますが、この減った分を「天使の分け前」なんていわれます。
天使が味見してくれた分だけ熟成が進み、ウイスキーが美味しくなる、というロマンティックなお話です。

さて、これがカバランの気候条件ではどうかというと、スコットランドと比較して、天使の分け前は5倍とも10倍ともいわれます。
いやはや、南国の天使は酒豪なのですね。
揮発量が多いため長期熟成はほとんど不可能である一方で、熟成効果もダイナミックかつ超スピードに高まるものと考えられています。
こうして生じる「土地の味」、良い意味でのクセこそがカバランの面白さであり、魅力なのです。

蒸留所の看板商品は「クラシック」。
バーボン樽、シェリー樽、新樽で熟成された原酒をブレンドしてできるクラシックは、カバラン･シングルモルトウイスキーの一作目であり、スタンダードな入門編。
「ディスティラリーセレクト」はお手頃モデル。全体的に高価なカバランの中にあって、安心して頂けるキャラクター。
「コンサートマスター」はポートワインを熟成した中古の樽で熟成した原酒を使用した特別なウイスキー。スイートでフルーティな味わいが際立つ、上品な一本です。